日本財団 図書館


 

と半数近くを占めた。
「分娩台」「ベッド」「たたみ」の3種について施設別にみると、病院と診療所間に差がなく、病院と助産所、診療所と助産所に有意差(P<0.01)がみられた。次に初・経産別で有意差(P<0.01)があった項目は、初産婦では「ベッド」、経産婦では「分娩台」「たたみ」と回答している者の割合が高かった。

 

2. 仮説2:(分娩方法は、なるべくなにもしない、自然な出産を希望するであろう)
出産方法に対する希望は、「なるべく何もしないで自然に」が1149名(89.6%)と約9割を占め、以下「興痛分娩」86名(4.3%)、「帝王切開」44名(2.2%)、「未定」42名(2.1%)、「出産する日を決めて」34名(1.7%)の順であった。施設別では「何もしないで自然に」は診療所600名(93.6%)、助産所34名(89.5%)、病院1149名(87.7%)の順で希望していた。
さらに、病院と診療所では診療所がより有意(P<0.01)に自然な出産を希望する者の割合が高く、診療所と助産所では、差がみられなかった。初・経産別では、初産婦888名(85.9%)、経産婦883名(90.3%)で、有意(P<0.01)に経産婦が自然な出産を求めていた。

 

3. 仮説3:(分娩時の体位の希望はもっていないであろう)
出産時に希望の体位があるかについて、「はい」330名(16.8%)、「いいえ」1629名(83.2%)であった。「はい」で体位の希望は、「仰向けで上半身を起こす」184名(55.9%)が最も多く、次いで「仰向けで立て膝173名(22.2%)、「座った形」53名(16.1%)の順であった。これを施設別でみると、病院と診療所において差(P<0.01)がみられた体位は、「仰向けで上半身を起こす」でより病院のほうに希望する割合が高く、「仰向けで立て膝」「座った形」は診療所に希望する割合が高かった。診療所と助産所間に差はみられなかった。
さらに、初・経産別にみると、「はい」は初産婦134名(13.8%)、経産婦196名(19.9%)であり、体位の希望は有意(P<0.01)に経産婦の割合が高かった。経産婦で希望の体位と前回出産時の体位が同じだった者は「横向き」2名(100.0%)。「仰向けで上半身を少し起こす」46名(73.0%)、「仰向けで立て膝」34名(30.6%)であった。

 

4. 仮説4:(分娩時の処置は現状を肯定するであろう)
出産の進行に伴う処置については5段階評価(してもよい1−したくない5)の平均値で表わした。最も肯定傾向にある処置は、分娩監視装置の装着(平均1.5標準偏差SD、以下SDという、0.9)であり、次いで内診(平均2.0SD1.1)、浣腸・剃毛(平均2.5SD1.2)の順であった。どちらともいえない処置は会陰切開(平均3.1SD1.4)であり。やや否定傾向にある処置は、分娩促進(平均3.4SD1.2)であった。
施設別でみると、3施設間で有意差(P<0.01)のみられた処置は、「浣腸」(診療所2.37<病院2.53<助産所3.23)であり、病院・診療所でやや肯定していた。2施設間(診療所と助産所)で有意差(P<0.01)のみられた処置は「分娩監視装置の装着」(診療所1.39<助産所2.43)、「剃毛」(診療所2.47<助産所3.49)、「会陰切開」(診療所3.06<助産所3.93)であり。診療所が有意に肯定していた。さらに、2施設間(病院と助産所)で有意差(P<0.05)がみられた処置は、「会陰切開」(病院3.09<助産所3.94)、「分娩監視装置の装着」(病院1.47<助産所2.43)であり、病院のほうが有意に肯定していた。「分娩促進」「内診」では施設差はみられなかった。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION